7月30日(月)、平成30年度講師例会が静岡市の江崎ホールにて開催されました。
2008年7月11日に「スマホ」が発売されて今年で10年。私たちを取り巻くメディア環境はこの10年で激変しました。電車で学生やサラリーマンが雑誌や新聞を読んでいることが常であった時代がついこの間。今ではほとんどの方がスマホを見ているのが象徴的です。 そんなスマホが「当たり前化」した現在において、生活者の情報行動はどのように変化しているのでしょうか。
今回、講師として(株)博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 メディア生活研究グループ 主席研究員の冨永 直基(とみながなおき)様をお招きし、最新の研究結果をもとにしたご講演を賜りました。
林田副理事長は冒頭の挨拶で、今回の開催趣旨を7月末に日本へ上陸した台風17号になぞらえ、「不規則な動きをする台風にも、常に情報に接することで備えることができた。メディア環境も同じである。刻々と変化する情報に接し、備える習慣を身につけよう。」と語られました。
続いて挨拶に立たれた長沢副理事長。先日、スマホのパスワードを失念しスマホを開けなくなってしまったとのこと。肝心のパスワードは「スマホ内のメモ帳」に保存していたそうで、「スマホが当たり前の時代になってきたが、全てをスマホに託すのも考えもの」とご自身の失敗談を面白おかしく語り、会場を和ませました。
さて、スマホが登場して10年目の本年、いわゆるメディア接触におけるスマホ(+タブレット)の割合は、全体の3割強に達しました。もちろん年代別で異なりますが、10~20代においてはおよそ7割を占めているとのこと。その理由は「習慣になっている」「仲間との話題」「役立つ情報が多い」。これらの理由は本来、テレビやパソコンが持つイメージでしたが、いよいよスマホに取って代わられたそうです。
この先も「スマホをベースにメディア生活は拡張していくと」冨永さんは語られます。
2018年におけるスマホ・ネイティブ世代は「情報引き寄せ」によって、興味ある情報が常に手元にあるような“じぶん情報圏”を作り、意思決定を高速化しているそうです。
●気になる情報は、写真やスクリーンショットでとりあえず保存。
●SNSでの情報は自分のために「いいね」をし、「後で見る」感覚で保存。
●ネット広告も自分に有益であると感じればとりあえずクリックしておく。
こうした「情報を引き寄せて、ためる」行動を繰り返すことで、興味ある情報だけが集まる“じぶん情報圏”が形成される。情報過多な世の中で、こうして自身の意思決定の場を作り上げる生活者が急速に増えているそうです。
では、私たちが、他人の“じぶん情報圏”にアプローチするにはどうしたら良いのでしょうか。
キーワードは「多焦点」と「多更新」。情報に焦点を増やし、多様性と拡張性に富むこと。そして情報の鮮度を維持することが重要であるとのことです。
生活者に「いいね」をもたらす情報を発信し、まずは引き寄せてもらうことが大切。そのためには、これまでセオリーとしてきた広告展開(焦点を絞る・集中する)を見直す必要がありそうです。
※詳しい情報はメディア環境研究所様ウェブサイトでご覧いただけます。
http://mekanken.com/contents/736/
おかげさまで今年度の講師例会も大変有意義なものとなりました。今回ご担当いただいた林田副理事長をはじめとする、メディア委員会・事務局・例会運営委員会の皆様、ありがとうございました。