事業報告

第16回SAAAクリエイティブ研究会

10月25日(木)、第16回SAAAクリエイティブ研究会がえんてつホール(浜松市)にて開催され、2017クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞受賞者3名による講演が行われました。会場には若い世代を中心に、400名の聴講者が集まりました。
「広告業界も危機的な人材不足、ぜひ今日の講演を聞いて広告業界に興味を持っていただきたい。」と長沢副理事長

第一部は、メダリストの増田総成氏(アサツー ディ・ケイ)にご登壇いただきました。
増田氏は地元浜松市の出身。自身のクリエイティブの根幹には浜松ならではの「ものづくり」精神が息づいているといいます。
そんな増田氏がクリエイティブにおいて大切にしている3つのこと
1.デザインの力を信じる
2.ハードルを下げずやりきること
3.日本人が大事にすることを大事にする
一見すると精神論にも思えますが、周囲の意見や迷いに苛まれるクリエイターにとっては己を律するための必須条件。また、日本人が大切にする文化や本質にフォーカスし、新たな価値を見出していくという思いを語られました。
増田氏が手がけられ、大きな話題となったオロナミンC『20年分のありがとう新聞』。朝日新聞とタッグを組み、応募者ひとりひとりのサプライズ新聞を親元へ配達するという斬新な企画。若者にシェアを伸ばしたいオロナミンCと、若者の新聞に対する意識を変えたい朝日新聞との思惑が合致し実現した。

第二部は、メダリストの古川雅之氏(電通)にご登壇いただきました。
関西出身の古川氏は、ユーモアたっぷりな事例とは裏腹に、思慮深く真面目にクリエイティブに取り組む方。
「ネットに頼りすぎない」「マーケティングを疑う」など、己の感覚を大切にされる古川氏。「何を言うか」を深いところで発見することが自身のクリエイティブであると語ります。例えば「新発売」は「誰も食べたことがない」。この「誰も食べたことがない」を自由な発想で表現することで、伝えたいことが明確かつインパクト大な広告ができあがるとのことです。
古川氏が手がけられたKINCHOの新聞広告。点を繋ぐとユニークなメッセージが浮かび上がる。広告への滞在時間を延ばすとともに、「金鳥らしい」と話題+好感度アップにつながった成功事例。また、おなじみの「タンスにゴン」は、もともとは「ゴン」という商品名。古川氏のアイデアで「タンスに」を頭につけたら売り上げがグンとのびたそう。

最後は、34歳の若さでクリエイター・オブ・ザ・イヤーを受賞した佐藤雄介氏(電通)にご登壇いただきました。
広告クリエイティブは今が一番面白い時代と語る佐藤氏。その訳はマス・ウェブ・リアルがお互いに作用し合う有機的な構造にあるとのことです。
若い世代の心をつかむことを得意とする佐藤氏のもとには、各企業から「ブランドを若返らせたい」というオーダーが舞い込むといいます。情報の消費スピードが速い若い世代に向け「簡単に消費されない広告」を作ること。テレビとウェブの連動、SNSへの派生・拡散という王道パターンも、そのプロセスひとつひとつに仕掛けを施すことが重要と語ります。
佐藤氏が手がけた、日清カップヌードル「HUNGRY DAYS アオハルかよ。」シリーズ。CM映像には一度見ただけでは把握できないほどの「情報」を忍ばせ、何度も見たくなる仕掛けを盛り込んだ。たちまちSNSで話題となり、発見や考察がなされると一度CMを見た消費者も改めて見にくるという現象が生まれた。「アオハルかよ。」というふわっとしたフレーズも、インスタで拡散しやすいように、と設計されている。
こちらは同社の別商品の広告事例。SNS上でよく見かける悪ノリを「本当にありそう」な演出で表現したことで話題となった。SNSのみでの展開だったが、結果的にマスに大きく取り上げられ、佐藤氏の提唱する「有機的な構造」が実証された。

今年のテーマは「人をつなぐ。時代をつなぐ。今、クリエイティブが求められていること。」
情報過多な時代だからこそ、丁寧に、わかりやすく、消費者をつなぐ。そうすることで、消費者の行動自体が広告として機能していく。だから我々はそこにクリエイティブを投入していくべきである。そんな3者の共通メッセージが強く感じられた第16回SAAAクリエイティブ研究会でした。

メダリストの3名の皆様、すばらしいご講演をありがとうございました。心からお礼を申し上げます。そして、設営にご協力いただいた西部地区会員社の皆様、研修委員会の皆様、大変お疲れ様でございました。来年は東部地区での開催を予定しております。

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